土木学会から環境教育に関する調査研究が発表された。(土木学会教育論文集 Vol.1,65-74 2009.3)
現状の学校現場での環境教育と、今後の環境教育の方向性が示されている。

論文では、環境関連授業を受講している大学生に、自分たちが小中高校で環境についてどんな内容を学習してきたかアンケート調査をしている。
調査の結果、現在の環境教育では、知識や情報は習得したという。けれども、現在、理科などの学習指導要領に記載されているような自然や環境の見方や考え方を習得したとは認識していなかったという考えにいきついている。
そのため、今後初等・中等教育における環境教育において、学習指導要領の内容を反映して、「見方や考え方を養う」方法について検討する必要があるのだ。
そして、見方や考え方について十分に学習・教育効果を得るためには、従来から課題として指摘されている教材の作成、選定が重要だという。


しかし、JSTと国立教育政策研究所が発表した「平成20年度高等学校理科教員実態調査」(平成21年3月30日)では、教育現場の実情では、それらの教育方法を実践するには難しそうな状況が示されている。

高等学校の普通科の理科教員で『実験の手順を生徒自身によく考えさせているか』と、『生徒に自分の考えを発表する機会をよく与えているか』に「そう思う」と回答した割合はともに1割未満だったようだ。また、生徒による観察や実験を週1回以上実施している割合も約1割で、小中学校の教員でこれらの問いへの回答割合が6~8割であるのに比べると極めて低い。さらに、必ず実施することになっている探究的な活動や課題研究に割り当てる授業時間数が、年に「3時間以下」に過ぎない教員の割合が6~8割と高いのだ。

観察や実験を行うにあたって障害となることは、「授業時間の不足」、「大学入試への対応のための指導に時間を取られる」という時間の不足や「設備備品の不足」をあげる教員が多い。また、学校あたりの理科の設備備品費は普通科の全国平均が年間約32万円(高校生一人当たり407円)だ。生徒一人当たりの消耗品費は510円であり、生徒による観察や実験を実施するには厳しい予算状況だ。

今後こうした状況を打破するには、教育界全体や教員側、生徒側がともに「見方・考え方を養う」ことの重要性を認識する必要性や、NGO等の活動により費用を最低限におさえた学習を活用していく必要がある。

また、土木学会の論文では、土木学の教育としてと環境教育との関連がある分野があることを示している。その分野は、水理学、水文学、河川工学、海岸工学、環境計画や管理、環境システム、大気汚染、土壌環境や環境生態等だ。こうした分野の大学研究者と連携した授業を行うのも得策かもしれない。


<文献>
・日本の学校教育における環境教育と土木学の教育の可能性についての考察
http://www.jsce.or.jp/library/open/proc/maglist2/02504/2009/01-0065.pdf
土木学会教育論文集 Vol.1,65-74 2009.3  都筑 良明

・「平成20年度高等学校理科教員実態調査」集計結果(速報)について
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20090330-2/index.html
平成21年3月30日 科学技術振興機構(JST)と国立教育政策研究所