教育応援プロジェクトvol.3 DNAをもっと身近に
教育応援プロジェクト創刊に寄せて
仕事柄、科学を好きになったきっかけを聞かれる機会が多くあります。その答えの1つとして話をするのは「理科 の授業で感動したことがあったから」というエピソードです。「ヒトには見えない色を見ている生き物がいる」とい う先生の何気ない雑談や、牛の目の解剖でレンズの美しさに感動したことなど、今でも印象に残る授業がたくさんあ ります。今号の制作にあたり、「未来の発見につながるような、感動や驚きを授業の中にもっと取り入れたい」とい う先生方の様々な想いを聞くことができました。そのような先生方に育てられた1 人として、後輩の皆さんが魅力 的な科学に触れるチャンスをこれからも提供し続けたいと改めて思いました。教育応援プロジェクトがその一助とな れば幸いです。
編集長 楠 晴奈
コンテンツ一覧
DNAをもっと身近に
4つの遺伝子の働きが細胞分化のカギ
~iPS細胞誕生物語~
1996 年、クローン羊のドリーが誕生し、自分とまったく同じDNA をもつ個体を作りだすことが可能であ ることが示唆されました。同時に、免疫反応の起こらない移植臓器を作り出す「再生医療」の研究に新しい 可能性が見えたのです。あれから10 年、2006 年8 月10 日、世界トップの米国科学専門誌「Cell」に「iPS 細胞」が報告されました。世界で初めて人工的に多能性をもつ幹細胞が誕生し、新たな再生医療への道とし て注目されています。
第2 回 月を見上げて授業をしよう
クレーターから探る生命の起源
46 億年前、多くの微惑星が集まり、原始地球は誕生した。地球にとって最も身近な星である月は、地球に巨大な天 体がぶつかり、飛び散った星のかけらから生まれたと推定されている。地球が誕生してから生命が生まれるまでに、 何が起こったのか。地球と生命の誕生の謎を探るヒントが「月」の中にある。
宇宙種、帰還!
宇宙教育プロジェクト、研究開始!
2009 年7月31日、日本人で初めて宇宙での長期滞在を 終えた、若田光一宇宙飛行士と共に、8ヶ月間国際宇宙 ステーション「きぼう」日本実験棟に滞在していた「ミヤ コグサ」の種子が地球へ戻ってきた。宇宙での生活に欠 かせない食料や酸素の供給源として植物は重要な存在。 しかし、地球上で進化を遂げてきた植物が、宇宙環境の 中でどのような影響を受けるのかは、まだ詳しく解明され ていない。そこで宇宙教育プロジェクトでは、長期間保 管された植物の種子を使って、全国の中学・高校生や研究 者とともに調査研究を開始する。
(写真提供:NASA/JAXA)
時計遺伝子の働きをみる
赤眼白眼の伴性遺伝など、遺伝の授業で親しみ深いショウジョウバエ。2000 年にゲノム(すべてのDNA 情報)が解読され、ヒトの病気の原因遺 伝子の61%を持っていることがわかりました。現在では、病気のメカニズムを解明するモデル生物としても活躍しています。
GFPの光でウイルスの特性を探る
2008 年ノーベル化学賞受賞で注目を浴びた「GFP(緑色蛍光タンパク質)」。発見当時は「きれいなタンパク質」というだけであまり注目されませんで した。しかし、1990 年代、GFP の遺伝子組換えが成功し、生命研究には欠かせない存在となったのです。
先端科学教育やっています
本質に迫る環境を整え、能動的な発見を促す
東京都心のベッドタウンとして知られる多摩丘陵。その一角にたたずむ多摩大学附属聖ヶ丘中学高等学校の有岡先生が実 施する理科授業は、実習3に対し講義1という割合が大きな特徴だ。実習が多くを占める授業とはどのようなものだろうか。
生徒にとっても教員にとっても「チャンス」の場
2009年7月9日発刊の『Nature (ネイチャー)』Vol.460に、4月に開校した横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学 校が紹介された。『Nature』といえば、世界中の研究者が購読し、論文が掲載されれば世界で最も名誉があるといわれ ている。同校は今、最先端の施設と研究者との連携を活用して、研究者を育てる学校として注目されている。
企業と連携した理科授業に挑戦!
松戸市立小金中学校は、2009年にパイロットスクールとして新設された。教育課程の工夫、校務の電子化や図書室の市 民開放など、新たなことに挑戦し土台を作っていく学校だ。理科教員の櫻井先生は、2008年度から株式会社リバネスと 連携した科学教室に挑戦している。トレーニングを受けた若手研究者が派遣され、DNAやタンパク質などをキーワードに、 研究内容や科学と社会のつながりを知るプログラムを1年生全クラスに実施している。
リバネス教育・教材開発事業部活動報告
若手研究者による出前授業を開始して7 年。大学や企業研究者とともに、最先端のサイエンス・テクノロジーを伝える出前実験教室 や科学教材、科学雑誌の開発を行っています。今後も先生方と連携し、子どもたちの科学への興味の種を育む活動を応援していきます。
教育応援プロジェクトで科学教育をもっと楽しく!
子どもたちは勉強することについてどのように考えているので しょうか。ベネッセコーポレーションの「学習基本調査国際6 都市調査報告書」によると、「今は勉強することが一番大事」 と考えている小学生は全体の4割程度。また3割強の子ども たちが「自分の国は努力すれば報われる社会だ。」と感じて いないという結果が出ています
プラスワンサイエンス
書画カメラを使ってみました
自分の手元をスクリーンに映せる便 利な書画カメラ(実物投映機)付き のプロジェクターを活用して実験授 業を実施してきました。協力いただ いたのは多摩大学付属聖ヶ丘高等学 校です。30 名の高校生向に向けて、 生命の設計図であるDNAについて紹 介し、DNA抽出実験を行いました。
みえる、つながる 「遺伝」の授業
学習指導要領の改訂により、授業での生命科学の分野 は拡大され、DNAやタンパク質について多くの子どもた ちが学ぶようになる。生命の仕組みを実感し、理解して もらうためにはどのような工夫ができるのか。神奈川県 立磯子高等学校の野村浩一郎先生は、『ファーブルフォト EX (デジタル双眼実体顕微鏡)』を活用し、ノーベル賞 技術であるGFPやメダカの交配など、生物Ⅰの「遺伝」 を「見せる」ことに力を入れている。
CO2 測定データで都市設計
安全で環境に優しく快適な都市の創造に向けて、幅広く 様々なことを学ぶのが、都市システム工学。例えば、建物 の設計・材料・建設技術や、防災・交通・栽培などの情報の システム、美しい景観を保った空間の設計や都市計画など、 幅広い分野が含まれる。その中で土地利用の分布や変化と 大気(CO2)との関係を研究しているのが桑原先生だ。
ロボット教育のススメ
~問題を発見し、解決する力を身につける~
稲川先生が授業に「ロボット」を取り入れたのは、今から5 年前のこと。子どもが興味を持つコンテンツというだけでな く、教育効果も高いという「ロボット教材」の活用方法と 魅力についてお話を伺った。
新連載 電力館で授業をしよう!
第2 回 電気を大切に ~送電技術の最先端~
電気は発電所でつくられ、私たちの家へ届けられます。環境に良い発電や無駄なく使 う方法など日々進歩していますが、つくられた電気を効率よく送るため、「送電」でも 様々な研究開発が進められています。
基礎学力を問う
21 世紀日本の教育への展望
免許更新の先生方を受け入れ、現代の課題を研究す るために誕生した研究機関。それが東京大学の学校教 育高度化センターだ。
大学教育最前線
情報知能システム総合学科が拓く明日への技術 ―東北大学工学部―
1919 年の電気工学科の創立からエレクトロニクス分野の研究では日本のトップを走り続けてきた東北大学。テレビのアンテナにマグネトロンと 呼ばれる電子レンジの電磁波発生装置や光通信、これらはどれも東北大学発の技術だ。2007 年4 月に情報知能システム総合学科と改称し、 電気、通信、電子、情報、応用物理の理工学の基盤の上に、メディカルバイオエレクトロ二クスや知能コンピューティングまで教育研究分野を 広げている。
イベントピックアップ
生物学のヒーロー、ヒロイン誕生!
国際生物学オリンピックin つくば
日本初の金メダル1 個、銀メダル3 個を獲得
「いろんな先生方に感謝の気持ちでいっぱいです。」声を詰まらせながら大会直後の気持ちを話してくれた のは7 月12 日から19 日にかけて開催された国際生物学オリンピックで日本人初の金メダルに輝いた大 月亮太君(千葉県立船橋高等学校 3 年)。日本が初めてホスト国となって行われた本大会では、日本人選 手4 名のうち、3 名が銀メダル、1 名が金メダルという快挙を遂げた。
化学実験カーがやってくる!
「実験」が化学を理解する力を育む
全国各地の学校や公民館を訪れて、様々な実験教室を展開する、「化学実験カー」。2010 年7 月に日本で開催される第42 回国際化学オリンピックのプレイベントとして、化学オリンピック日本委員会が2008 年から開始した化学実験カーの教 室には、既に4000 人を越える子どもたちが参加しています。当初5 人程度だった担当者も、今では全国の多くの先生が「化 学実験カー」に乗っています。その立ち上げの主要メンバーで、今日も全国を巡る「化学実験カー」で活躍している柄山先 生にお話を伺いました。
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- 2012.01.16 サイエンスブリッジニュース vol.91 【特別号】
- 2011.11.02 今週のサイエンスブリッジNEWS「生物の「波」を予測していた数学」
- 2011.10.07 2011年ノーベル賞特集記念!サイエンスブリッジNEWSを限定公開中!








