リバネスのサイエンスコラムリバコミ!
ノーベル賞で話題のGFPで光る酵母が地雷探知

現在、世界には約7,000 万個の地雷が埋まっています。国際赤十字によると、毎日70 人(20 分間に1 人の割合)もの人が、地雷によって亡くなっているといわれています。この地雷を撤去するために現在行われているのが、金属探知器を使って地雷を探すという方法ですが、探知している最中に誤って地雷を踏んでしまえば命を落とすという大きな危険をともないます。この作業の安全性を高めるために開発されたのが、光って地雷の場所を教える酵母。これには今年度のノーベル化学賞を受賞した下村脩おさむ氏がオワンクラゲから抽出・発見した緑色蛍光タンパク質(GFP)の遺伝子が使われています。
光って地雷を見つける酵母
テンプル大学(米フィラデルフィア)の研究チームが開発したこの酵母は、2 種類の遺伝子が導入されたことで、地雷の爆薬のにおい物質(化学物質)を感じて緑色に光る能力をもっています。導入された遺伝子は、ネズミの嗅覚受容体とGFP の2 種類。嗅覚受容体とは生き物の鼻の粘膜にあるタンパク質で、におい物質と結合して反応する性質があります。この嗅覚受容体のうち、火薬の中に含まれるジニトロトルエン(DNT)に反応す るものをネズミから探し出し、その遺伝子を酵母に導入します。さらに、この遺伝子と一緒にGFP の遺伝子も導入することで、DNT と嗅覚受容体が結合すると、嗅覚のメカニズムが酵母内で働いて、GFP で酵母が光るという仕組みです。この酵母を空から広域に散布すれば、埋められた地雷の部分だけが光り地雷の場所がわかるので、誤って地雷を踏むのを未然に防ぐことができるようになる可能性があるのです。ノーベル賞で話題のGFPを使って、安全に地雷を撤去できるようになる日が、もうすぐそこまで来ています。
(リバネス出版『リバコミ!~ 74 コのサイエンスのおはなし~』より抜粋)
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