教育応援プロジェクトvol.1 教材づくりで学びの連鎖を生む ~ 東工大の挑戦 ~
教材づくりで学びの連鎖を生む ~ 東工大の挑戦 ~
高大連携というと通常は大学の教員が高校に出張授業に出向くような、大学教員と高校生・高校 教員との交流を指すことが多い。だが、今回の「高校生バイオコン」の主役は教員ではなく大学生と 高校生。今回が初めての取り組みとなる高校生バイオコンは東京工業大学生命理工学部による新し い高大連携プログラムへの挑戦だ。
高校生が作る小中向け教材
2008 年11 月15 日、8 校、12 チー ムの高校生たちが東京工業大学すずか け台キャンパスに集まった。3 か月間 かけて開発した小中学生向けのバイオ 教材を100 人以上の聴衆の前で次々 と紹介していく。 チョコレートで作った心臓の模型や 環境問題を考えるゲーム、消化をテー マにしたすごろく、ダンゴムシの迷路 など。プレゼンテーションのアニメー ションに工夫を凝らすチームや試食品 を審査員に振る舞うチームなど、開発 した教材の魅力を伝える工夫が随所に 見られ、会場には何度となく感嘆の声 があがった。 各チームの発表後には小中学生が審 査員となって好きな作品に投票でき る「おためしタイム」が設けられた。 1 教室程度の広さの部屋に構えられた ブースの周辺に小中学生、高校教員、 大学生、大学教員、様々な年代の人た ちが環をつくっていた。「小中学生と 年代が近いためか、大学生が創るもの とは異なり、想像以上におもしろい教 材だった」と「東工大バイオコン」の 仕掛け人でもある太田啓之教授は語 る。
高校生を支える大学生
高校生バイオコンの特徴はコンテス トの企画から運営まで全てが大学生に より行われることだ。およそ10 名の 学生たちが集まって運営事務局を作 り、参加する高校ごとにチームに分か れて、アドバイスにあたる。担当の高 校を週1回程度訪問し、高校生と共に 教材のアイデアを出し合ったり、試作 品作りのサポートを行ったりする。開 始当初は消極的な生徒たちも多かった が、大学生との交流や、チームが一体 となってものづくりをする経験が刺激 となり、開発が進むにつれ教材づくり への熱は増していった。高校生と大学 生のチームが力の限りを尽くした教材 づくりと発表準備は本番当日の朝にま で及んだ。
学びの連鎖、始まる
東京工業大学生命理工学部は平成 17 年度から「教えることは学ぶこと」 をスローガンに7 ~ 8 名の大学1 年 生がチームになって小中学生向けのバ 大学教育最前線 高校イオ教材を開発する東工大バイオコン を実施してきた。教材づくりを通じた 創造性の育成や仲間との協調性を学習 するなど、高い教育効果が学内外から 評価を得ている。 「バイオコンで蓄積されたノウハウ を活用して、さらに良い形で社会に活 かす方法を考えた。大学生のサポート で高校生が小中学生向けの教材を作 る。そして、開発された教材を使って小中学生が楽しくサイエンスを学ぶ。 まさに今、学びの連鎖が作られようと している」と太田教授。東京工業大学 内部の取り組みに端を発する高校生バ イオコンは高大連携の枠を超え、小学 校から大学まで地域全体を巻き込む取 り組みとなった。新しい教育プログラ ムの可能性を示した東京工業大学の取 り組みから今後もますます目が離せない。
東工大バイオコンから誕生した教材
東工大バイオコンから誕生した教材 第1 回優勝作品「DNA カードゲーム」
生命の設計図である「DNA」。私たちの体内では4 種の塩基A、
T、G、C が並んだDNA の暗号をもとに、アミノ酸が並べられ、
タンパク質が作られる。この仕組みがゲームになっている。
カードは、塩基A、T、G、C それぞれが1 文字ずつ1 枚に
書かれているものが合計180 枚ある。塩基を並べ、次々とア
ミノ酸カードに変換していくことで得点を競い合うという対戦型に
なっている。数種類のカードを駆使して、楽しくDNAの仕組み
を理解し、イメージをつけていくことができる。
生物の遺伝情報の単元で、3塩基セットのコドンとアミノ酸の
関係を学ぶ際に、30分~1時間ほどゲームを楽しんでみてはど
うだろうか。
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